「スピーチロック」ってどんな曲?

介護サービス





たまにはバラードもあるけれど、基本はギターをひずませてかき鳴らして、

まるでハードロックのような・・・

はい、違いますね。調子に乗りすぎました。

 

ロックといえば、ユニコーンが好きで始まって、ユニコーンの曲をギターで弾いてみたくて弾き語りもしてみたり。ギターを覚えるコツは、何のコードが弾けるようになったとかじゃなく、この曲を弾きながら歌えるようになってみたい、そんな一曲をひたすらそれだけ練習してみる、その一曲が何とか形になってくる頃には、「あれっ?!なんだか他のもいきなり弾けるようになってるぞ?!何だこりゃ」好きなものを好奇心だけで徹底してやる。そんな上達の仕方もあるんだなと感じたあの頃でした。    ちなみにONEOKROCKも好きです。 あっきーらです。


『スピーチロック』

カタカナを解説すると「スピーチ=言葉で。ロック=制限・拘束・施錠」

意味合いでいうと、「言葉で相手を縛りつける」ということでしょうか。

結論的には、「利用者に自由意志を与えない声掛けで、行動・心理までも制限してしまう」

つまりは、モノを使わない、虐待、ということですね。

介護の仕事をしていると、どこかで何となく聞いたことあるような無いような、分かってる気はするけど、質問されてちゃんと答える自信があるかと言われたら・・・

そんなとき何を調べたらいいんだろう?本や資料だと、堅苦しい言葉でいっぱいだ!しかもこんなにいっぱい覚えられないよぅ、もう無理!そもそも理屈は分かるけど、だからこれをどうしろと?具体的にはどう活かせばいいのよぅ、もう無理!って時に、この記事を参考にしてもらえたらと思います。



1.まず初めに

【虐待ってなんでダメなの?】

もし虐待がよしとされる世界を想像してみてください。自分が他人に何でもしていいみたいな世界 でなんだか自分が優越感を感じることができるかもしれません。それって最高かも!

でもそれと同時に、自分以外の全員も虐待OKなら、一瞬で自分も被害にあってしまう。これじゃあ世の中生きづらくてしょうがない。それならやっぱり虐待はNGにしたほうがいいな。って、これが基本の考え方。

【ひもで縛ったり、暴言・暴力ふるってないのに虐待なの?】

人は、「物理的」・「精神的」・「環境的」に、動きを制限することができます。

それぞれを一言で例えると、

「物理的」・・・逮捕罪等(縛ったり、押さえつけたり、傷害罪や殺人罪に至ることも)

「精神的」・・・脅迫罪等(威圧と恐怖感で、相手の自由を奪い委縮させてしまう)

「環境的」・・・監禁罪等(部屋に閉じ込める事【部屋の施錠等】、相手の時間と自由を奪う)

何か使っても使わなくても刑法に引っかかることだらけですね!そう考えるとダメな理由はだれが見ても明白になってきませんか?

人としての自由の権利を奪うのはとても簡単なことで、縛ったり暴力なんてのも必要としないのが、よく分かりますね。その気になれば人間って、口一つで何でもできてしまうんですよ。、それは言葉で追い込みをかけて、自殺に追い込んだらそれは殺人罪になるのか?なんて議論も・・・

「その一言」の怖さ、何となく感じてきませんか?

【スピーチロックって何気ない一言二言なのに虐待なの?】

これまでに見てきたように、虐待は刑法にあたる犯罪行為であり、その虐待には、物を必要としないものが多くあることも分かってきました。スピーチロックって言葉で自由の権利を奪っているから・・・やっぱり完全にダメですね。極端な言い方をすれば、「スピーチロックも捕まっていないだけの刑法犯罪」なんとも恐ろしい表現ですね。

*ちなみに刑法で規制しているものって「人の自由・権利を奪う・制限するもの」って理解でいいですよね。



2.さて、ここからは「スピーチロック」を詳しく見ていきましょう。

よく聞く言葉をまとめてみます。スピーチロックは何気ない声掛けの一言だけで出来てしまうため、非常に安易で誰でもやってしまう可能性を秘めています。あなたが無意識のうちに発している言葉がスピーチロックとして利用者を拘束しているかもしれませんよ・・・

例えば

ちょっと待って

座ってて」(「立たないで」)

動いちゃダメ

なんでそんなことするの

etc・・・

普通に使いがちな言葉ですね。

 

次に上記をそれぞれ解説していきます。

①「ちょっと待って」*「順番だから」もよく聞きますが「ちょっと待って」と同様です。

スピーチロックとしないための言い換え例(良いのも悪いのもあります)

→・今○○中で対応できないので、終えたら伺いますね。(理由だけ明確)

・○○分後に伺います。(時間だけ明確)

・少々お待ちいただけますか。(丁寧に言ってるだけで何も明確なものがない)

・~しているので、後○○分待ってもらえますか。(理由も時間も明確)

・待ってもらっていいですか?お待ちください。(丁寧に言ってるが明確なものがない)

・申し訳ありません、少しだけお待ちいただけますか。(謝って、感情に訴えている)

・順番に参りますね、少々お待ちください、あと○○分くらいで伺います。

・少々お待ちください、順番にご案内致します。

(順番という場合、なんで自分じゃなくて他の人が先なの?理由が必要)

・今赤い服の職員が来ますので待っていただけますか。(対応できる者が明確)

・「お待ちください、あと○○分後に伺いますね。(時間だけ明確)

・「何がしたいのですか?どうしたいのですか?」(待たせる言葉を使用しない)

・後三分待ってください。(待たされる理由が不明。わしゃカップ麺か!)

・○○分待ってください、終わったらすぐ行きます。(待たされる理由が不明、)

・今~(他の)対応しているので少し待てますか。(理由が明確なので時間も順次明確)

・用事が済んだら伺うので少しお待ちいただけますか。(理由が不明なので時間も順次不明)

・今○○していて○○分で戻るので、戻るまで待ってもらえますか。(理由時間ともに明確)

大切なのは、

1⃣待たせる理由を分かってもらえるかどうか。

2⃣それに待たせる時間を明確にする事。つまり、人は何のためにどれだけ待つのか明確であれば納得しやすいということです。

3⃣そして今自分がしている、しようとしている作業が本当に今でなければいけないのか、を考えることです。

*例えば、「いま彼女と電話中だから5分待って」ってのは・・・理由も時間も明確だけど、いますること?ってなりますよね。

上記1⃣2⃣3⃣を踏まえてぜひ考えてみてください。

 

②「座ってて、立たないで」

スピーチロックとしないための言い換え例(良いのも悪いのもあります)

・どちらへ行きますか?立ち上がると危ないので座っていただけますか?             (行動の理由は聞いているが、立ちたい理由に寄り添おうとしていない)

・すぐスタッフが参りますので、来ましたらすぐ行きましょう                  (立ちたい理由は不明のまま、解決策は明確)

・立ち上がると危ないので座っていただけますか?お尻痛いですか?立ちたい理由を聞いている。が、立ちあがると危ない理由が不明)

・転んでしまったら危ないので座っていただけますか?(立ちたい理由は不明だが、立ち上がると危ない理由は明確)

・どうしました?何かありましたか?(何かないと立っちゃいけないの?)

・どちらに行きましょうか、一緒に行きますよ。よい足の運動になりますね。         (理由は問わず相手の行動に寄り添って、解決策も明確)

・順番に対応いたしますので、椅子にお座りになってお待ちください。(順番という場合、なんで自分じゃなくて他の人が先なの?理由が必要)

・よかったら一緒に行きましょうか(相手の気持ち・行動に寄り添っている)

・何がしたいのですか?どうしたいのですか?(理由のみ寄り添おうとしている)

*上記でちょっと気になるのですが、「人は何かしたいからどうにかしようとして動く」わけで、その前提でこちら側から対応しようとすると、「何かしたいんだな。なんだろう?こんなことかな?○○がしたいのですか?」等の声掛けになってくると思います。動きたい人に「何がしたいのですか?は、ちょっとそのままお返ししすぎの乱暴な言葉にも聞こえてきそうです。

・○○終わったら一緒に行きましょうか(待たせる理由が明確でその後の対策も明確)

・コーヒーでもいかがですか?(ここで座ってたほうがいいことあるよアピール)

・倒れてしまったら大変、座って一緒にお話ししませんか?                    (安全確保の気持ちは伝わるけど、何が大変なの?)

大切なのは、                                       動こうとする人を自分のペースに引き込んでいくのではなく、                            本人の行動の理由を知る・推測することと、見守ることが重要になってきます。          立ちたい理由は様々です。人は同じ姿勢でいることは10分でも辛いものです。お尻が痛くて立ち上がったかもしれないし、お尻の位置を直したくて立ち上がったのかもしれません。それを「立たないで」と止めるというのは一体・・・

 

③「動いちゃダメ」

スピーチロックとしないための言い換え例(良いのも悪いのもあります)

・すぐにスタッフが参りますので、来ましたら行きましょう(んっ?あなたは誰??)

・~しているのでもう少しだけ動かないでもらえますか。                  (本人の動きたい理由を完全に無視してしまって、こちらの都合の声掛けになっていませんか?)

・もう少ししたら一緒に行けますので、少しだけお待ちください。              (具体的ではありませんが、何となくいけるんだなって気持ちは伝わりますね)

・お部屋戻られますか?私も行ってもよろしいですか?(即対応してる)

・お散歩でも一緒に行きましょう                             (動かないように制止する働きかけを、そもそもせず、利用者の行動を活用している)

・何がしたいのですか?どうしたいのですか?                       (聞き方そのものがなんか威圧的な感じがしませんか?何がしたいか分かってて聞いているなら高圧 的だし、純粋にわからずに聞いているなら少しは相手の気持ちになって想像してみてってかんじですね)

・動いたら○○してしまう(転倒・転落・外傷を負う)ので動かない方がいいですね。(これ言って納得して動かなくなる人って、そもそも動くと思いますか?)

・コーヒーでもいかがですか?{ここにいるといいことあるよアピール}           (不穏な意識をすり替えようとしている)

・少しの間動かないで待っててもらえますか?(職員の都合のいい方になっていませんか)

大切なのは、「利用者の行動・気持ちを考えどうしたいのかがイメージできるか」ということに尽きるのかもしれません。少なくとも、動きたいのは動きたい理由があってするのだから、その理由が明確でないだけで、問い詰めるのは有効ではありません。理由は表現できなくても動きたいものは動きたいんだからしょうがない。即対応が有効なのではないでしょうか。そう考えてみると、声のかけ方ってずいぶん変わってくるのでは?

 

なんでそんなことするの

スピーチロックとしないための言い換え例(良いのも悪いのもあります)

・どうしましたか?一緒に○○でもしませんか?(理由をうかがって、別の安全なことに誘導)

・~すると危ないので今はちょっとやめておきましょう(今以外でいい時は来るのでしょうか)

・どうしましたか?おひとりでは危ないので後で一緒にやりましょうか{お手伝いしましょうか}(理由を伺い、見守りを確保)

・何か気になることがありますか?私にお手伝いできることありますか?(利用者の気持ちに寄り添おうとし、自分がそれにどう関われるかを伺っている)

・危ないので今度から一緒にしましょう(本人に危ない自覚はあるのでしょうか)

・○○がしたいの?○○した方が良いんじゃないですか?(それダメですよ、こっちのほうがいいですよ。そう言われて本人納得できますかね?)

・そうしたかったんですね、じゃあこうお手伝いしてもいいですか?(行動を理解し、本人の行動を予測し、自分が邪魔にならない関わり方を提案)

・危ないのでこちらで違うことをしませんか?(リスクの把握と代替案の提案)

・どうしました、何か理由があるんですね。(その理由を、行動の中から探ってほしい所ですかね)

大切なのは、行動には人それぞれの理由があります。話してくれる内容が支離滅裂に聞こえても、その端々に出てくる単語から、本当にしたいことが見えてくることが多くあります。その理由を見抜いて、そこを先回りした対応ができたら・・・

 

まとめ

●「スピーチロック」は、ものを使わない虐待

●虐待は法律違反

●「スピーチロック」は何も持たないだけに、非常に安易に起きやすい

●「待たせる理由」と「待たせる時間」を明確にすると、人は待てる

●「気持ち」と「行動」を予測し、その先の行動に添って安全確保を図る

●「利用者の行動・気持ちを考えどうしたいのかがイメージできるか」

●言葉だけでなく単語の中にも本意が見つかることも

 

人は、言っても聞かない人にイラ立つものです。ただし認知症の方に対しては、それは通用しません。介助者としては「理解して順応した対応」を行うことがすべてになります。自分だけの経験・知識だけの先入観に惑わされず、対応していきたいものです。そして、認知症のある方に対しては、家族を含めたカンファレンス開催も考慮して、チームで対応していくべきです。そしてチームケアの中で、お互いの言葉遣いを評価しあうのもよいと思います。

言葉が「切れ味のある凶器」となるのではなく「形を持たない介護の武器」となるのが良いのかな、なんて思います。








 

 

 

 

 

 

 

 

 

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